イタリア医学部留学を検討されている皆様へ。

mirunote留学の共同代表として、イタリア医学部留学をサポートする私たちが留学に伴うリスクについて包み隠さずお伝えする義務があると考えています。

イタリア医学部を含め、海外医学部留学は決して楽な道ではありません。むしろ、十分な情報と準備なしに進むと、予想外の困難に直面する可能性があります。

本記事では、現役のイタリア医学生(mirunote共同代表)が考えるイタリア医学部留学に伴う主要なリスクについて包み隠さずに解説します。

あまり考えたくない内容であるとは思いますが、医学部留学を決断された全員が医師になれるわけではないため、医学部留学を決断される前に本記事を読んで、今一度、自分自身の決断が正しいのかを考える一助になれば幸いです。

※ もちろん、イタリア医学部留学のメリットもあります。現役のイタリア医学生が10個のメリットをまとめました。

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これから紹介するリスクをすべて理解した上で、イタリア医学部留学を決断されることを強く推奨します。mirunote留学をご利用いただく場合は、これらのリスクを完全に理解されているものとみなします。

1. そもそも医学部に入学できない可能性

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まず、意外と多いケースが、イタリア医学部に合格できないパターンです。

イタリア国立医学部英語コースへ入学するには、IMAT(International Medical Admission Test)と呼ばれる全大学共通の試験に合格する必要があります。IMATの競争率は年々高まっており、2024年度のIMATでは約11,000人の受験者が1454名(*1)の枠を競い合い、実質倍率は 7.5倍以上に達しています。

1: この人数はEU枠とNon-EU枠の医学部・歯学部(60名)の募集人数であり、イタリア政府の教育省が公開しているデータでは、これ以上細かなデータはないため、実質倍率はEU枠・Non-EU枠及び歯学部も含めたものとなっています。

特にミラノ大学、ボローニャ大学などの人気の国立医学部は、IMATで非常に高い点数を取らなければ、合格は極めて難しいと言えるでしょう。

残念なことですが、イタリア国立医学部の日本人受験生の合格者は全体で50%以下であり、2人に1人も合格できない計算です。これは、日本人受験生が優秀でないということではなく、さまざま理由で難易度が上昇しています。

時間が限られている場合は合格がさらに難しくなるため、IMAT2位合格者による「学習効率を極めた入試対策」ができる、mirunote留学のイタリア医学部入試対策講座やオンライン家庭教師(個別指導)などを利用して、イタリア医学部受験を決断された日から医学部受験の勉強を始めることを強く推奨します。

日本人受験生のIMAT合格が難しい5つの理由

私個人の意見として、日本人受験生のイタリア医学部合格が難しい理由は主に5つあると考えています。

具体的な理由は下記のとおりです。

  1. イタリア医学部入試の対策が不十分である
  2. 問題の形式に慣れていない
  3. 英語での問題に慣れていない
  4. 周囲の受験生のレベルが高い
  5. イタリア医学部入試対策に有用な教材がない

それぞれの理由と対策方法を具体的に解説します。

1. イタリア医学部入試の対策が不十分である

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よくある不合格の理由としては、医学部入試対策が不十分であることが挙げられます。

これには、「入試までの時間が足りなかった」または「試験範囲をすべて網羅できていなかった」という2つの理由があると考えています。

例えば、「入試までの時間が足りなかった」というのは、「イタリア医学部を知った時期が遅かった」「イタリア医学部入試の勉強に時間を割けなかった」などの理由で、物理的に時間が足りずに勉強ができなかったというケースが多いでしょう。この場合は、試験対策を万全にして受験することは難しいため、合格は難しいと言えるでしょう。

また、「試験範囲をすべて網羅できていなかった」というのもよく起こりうるイタリア医学部に不合格になる理由です。イタリア医学部入試の試験範囲と、日本の医学部入試の試験範囲は異なりますし、IMATや一部の私立医学部では、理科3科目(生物・化学・物理)のすべてが問われます。

どんなに時間があっても、未履修分野も含めてすべての試験範囲を網羅するのは並大抵のことではありません。さらに、後述しますが、日本の医学部入試のように良書と呼ばれる参考書などがない中で、独学で勉強するとなると、ほぼ確実に漏れや抜けが出てきてしまいます。

これらを防ぐ対策としては、mirunote留学のIMAT上位合格者・イタリア私立医学部上位合格者によるオンライン家庭教師(個別指導)を利用するのが一番でしょう。独学で勉強していると多くの時間を費やしてしまうため、個別指導を利用することで未履修分野や苦手分野を重点的に対策でき、さらにイタリア医学部上位合格者が直接、講義をおこなうことで、試験で問われやすい部分を効率的に学習でき、日々の勉強法や入試対策方法などを相談することも可能です。

近年、イタリア医学部入試の難易度は上昇しているため、日本の医学部入試ではないからと舐めてかかると痛い目に遭います。可能な限り、入試対策をおこない、入試で高得点を狙える状態にしておくことをオススメします。

2. 問題の形式に慣れていない

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過去問や大学公式のテストシミュレーターなどを何回か解いておかないと、問題の出題形式に慣れていないため、点数が取れないこともあります。どのような入試でも「出題傾向」や「大学独自の頻出分野・頻出の問われ方などがあり、これらを知らないと高得点を取るのは難しいでしょう。

問題の形式に慣れるためには、とにかく問題を解いてみることこれが一番の近道です。大学によっては聞き慣れない医学単語をよく使用していたり、長文読解問題のテーマが医学に関するものである場合は、医療系の英単語を勉強しておくべきですし、毎回独特の言い回しや同じような解法パターンの問題があれば、よく復習して次に出題された際には解けるようにしておくべきです。

問題の形式に不慣れで入試本番で点数を取れなかったパターンもよく見られるので、必ず入試を受験する前に何回か過去問や大学公式のテストシミュレーターを解いてみることをオススメします。

3. 英語での問題に慣れていない

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そもそも論ではありますが、英語での問題に慣れていないというケースもあります。日本のいわゆる”普通”の高校に通い、日本で医学部入試をしていた場合などは、「英語」は試験科目であり、英語で出題される理系科目などの問題を解くことに慣れていないケースも多いかと思います。

対策としては、過去問や大学公式のテストシミュレーターを利用して、問題の形式に慣れつつ、一言一句飛ばさずに読むことを徹底することで、試験本番で緊張していつもより英語を読むのに疲れてしまった場合でも、最後まで問題を正確に読み、ケアレスミスを防ぐことにつながります。

4. 周囲の受験生のレベルが高い

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前述のとおり、合格難易度は高いため、日本の医学部入試と同様に浪人生も多数見られます。中には2年以上浪人して、イタリア医学部入試対策しかしていないという受験生もいるため、現役で受験する場合はこれらの浪人生と競わなければなりません。

また、日本人受験生の多くが受験する「Non-EU枠」の募集人数は、大学により変動はあるものの、一部の大学を除いて、10〜50名前後であり、そもそもの定員が少ないです。また、イタリア医学部では国籍により受験枠が分けられるため、Non-EU枠ではイギリスなどの英語圏出身の受験生や中国、韓国などのアジア圏の受験生との戦いとなるため、難易度が高くなる要因となっています。

これらの対策としては、mirunote留学の入試対策講座やオンライン家庭教師などを利用して、「学習効率を極めた」入試対策で、限られた時間の中で高得点を狙う受験勉強をするというのが良いでしょう。高得点で合格を狙う場合には、独学での勉強では難しく、IMATなどはここ数年、高得点での争いとなっているため、過去問だけをやって合格できるわけでもありません

mirunote留学が提唱している基礎知識の習得」+「解法パターンの習得」+「演習の流れを踏めば、過去の生徒さんを見ても点数が大幅に上昇しているため、これらのサービス等を利用して、イタリア医学部入試対策を効率的におこなうことをオススメします。

5. イタリア医学部入試対策に有用な教材がない

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イタリア医学部入試の試験範囲は、日本の医学部入試などの試験範囲(シラバス)と異なる部分も多いため、イタリア医学部入試に向けて、再度、勉強し直さなければなりません。

しかし、日本の医学部入試とは異なり、イタリア医学部受験対策に有用な教材(参考書など)は少なく、IMAT対策用のオンラインコース(英語版)がいくつか見つかるぐらいかと思います。とはいえ、これらの教材も効率的に学習できるとは言えず、結局、独学で勉強せざるを得ないのが実情です。

というのも、日本で教育を受けた受験生が海外のオンラインコースを利用したり、外国人講師の授業を受ける場合は、これまで習ってきた教育方法や履修範囲、理解・学習の仕方が大きく異なるため、無駄な学習が増えたり、理解できない部分が出てきたりと、結果的に勉強の効率があがらない場合がほとんどです。私も受験生時代にこれらのオンラインコースを利用しましたが、途中から独学に切り替えました。

現在、mirunote留学では、IMAT2位合格者が作成したイタリア医学部入試対策講座や、各大学の直前講習・スポット講習などを販売・開催しており、これらはすべて日本で教育を受けたIMAT2位合格者が日本語で授業をおこなっているため、英語での勉強に不慣れな方でも効率よく、受験対策をすることが可能です。講座・講習の内容もイタリア医学部に上位合格するためのノウハウ(解法パターン・背景知識の解説)をメインに、効率的に受験勉強できることに特化したものとなっています。

イタリア私立医学部の入試難易度も高まっている

ここ最近、イタリア私立医学部では、大学「公認」の留学エージェントが解禁され、イタリア私立医学部も今後人気になることが予想されます。

大学公認の留学エージェントとは、よくある東欧医学部のように留学エージェントが大学と提携し、入学者を斡旋することで何かしらのコミッション(金銭など)を得る形態のことです(※ すべての大学でそうだとは限りません)。

そのため、公認の留学エージェントの場合は、合格まで(出願サポートなど)の費用を無料にして、多くの受験生を合格させ、入学させることで多額のコミッションを得ているところもあります。

実際にこの影響だけとは限りませんが、2025年度の入試は前年度より難易度が上昇しており、日本人受験生も1大学で20名以上出願している大学も見られるようになりました。今のところ、学費が高い(年間約20,000ユーロ)ため、国立医学部入試ほどの人気は出ていませんが、国立医学部に浪人するぐらいなら、現役で私立医学部に入学する学生が増えることも十分に予想されます。

イタリア私立医学部は、独自の入試システムであり、入試問題や出題傾向も国立医学部とは異なるため、私立医学部に特化した入試対策をおこなう必要があります。

mirunote留学では、イタリア私立医学部に日本人トップで合格した医学生をはじめ、イタリア医学部上位合格者によるオンライン家庭教師(個別指導)があり、これを利用することで、苦手分野に特化した入試対策をおこない、短期間の対策でイタリア医学部に合格された方が多数いらっしゃいます。

以上のように、イタリア医学部入試の難易度は近年、大幅に上昇しており、実際に多くの日本人受験生が私立医学部入試も含めて不合格になっているという事実を踏まえると、イタリア医学部入試対策を万全におこなわなければ、医学部の合格は難しいと言えます。

そもそも、イタリア医学部に入学できないリスクがあるということは事前に確認しておきましょう。

2. 6年間で医師免許を取得できない可能性

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次に、海外医学部で考えられる可能性として最も多いのは、6年間で卒業できない、もしくは医師免許を取得できないケースです。イタリア医学部も日本の医学部と同様に6年制となっており、イタリアでは現在、卒業と同時にイタリアの医師免許が付与されるため、医学部を6年間で卒業できるかが鍵となります。

イタリア医学部は、他の海外医学部と比べて留年率や退学率が低いと言われますが、一概にそうだとは言えません。実際、私の通う大学では、すでに同学年の25名の学生が退学しており、留学エージェントがよく宣伝している卒業率が高い”というにはほど遠い数値となっています。

もちろん、これらの退学者が他の大学に転校・編入したり、私の大学にも転校・編入してきた学生もいるため、そもそもヨーロッパの医学部で留年率や退学率を出すことは困難ですが、それでも6年間で卒業できない学生も多くいます

私自身が東欧医学部に在籍していた経験があるので、以前の大学と現在の大学を比較すると、イタリア医学部の方が進級・退学のルールが緩く、試験の回数も多いため、滅多なことがなければ退学することはないのではないかとは思います。しかし、それは定期試験が簡単というわけではなく、あくまでもルール上(システム上)試験を受けられるチャンスが多いということであり、単位を楽に取れるという意味ではないことに注意してください。

また、後述しますが、日本で卒業後すぐに医師免許を取得する予定がある場合、医師国家試験受験資格認定の締切は7月末となっており、イタリア医学部の年間スケジュールや用意すべき書類が多々あること踏まえると、締切に間に合わず、卒業した年度にこれらの認定を受け、日本の医師国家試験を受験するのは困難である可能性があります。

もちろん事前の準備や大学との調整などによって、もしくは今後、締切日が変更になる場合もあるため、卒業年度にそのまま医師国家試験の受験資格認定の審査を受け、審査に通過し、医師国家試験を受験するることが可能な場合もありますが、断言することはできません。

これらのことも事前に把握し、不明点があれば大学などに事前に問い合わせることをオススメします。

3. 日本の医師免許を取得できない可能性

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無事にイタリア医学部を卒業できたとしても、日本の医師国家試験の受験資格を得られるかはわかりません。これが3つ目のイタリア医学部に進学するリスクとなります。

厚生労働省は、海外医学部を卒業した申請者ごとに審査するため、医師国家試験の受験資格を一律に認定することはない、と明言しており、過去に卒業生が日本の医師国家試験の受験資格認定を得たからといって、自分自身が申請する際には、日本の医師国家試験の受験資格が認められない可能性があります。

また、医学部入学後にこれらの受験資格認定の要件などが変更になる可能性は十分にあり、日本の医師国家試験の受験資格認定を得る6年後では制度や状況が変わっている場合も否定できません。

必ず、ご自身で厚生労働省のHPをご確認いただき、判断してください。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2012/05/tp0525-01.html

4. 卒後のキャリア形成に影響する可能性

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日本もしくは他の働きたい国での医師免許が無事に取得できた場合でも、希望の病院で働けるとは限りません。これも一概には言えないことですが、例えば日本以外の国で働く場合は、言語要件や就労ビザを取得できないなどの理由で、希望の国や病院で働けないケースも見られます。

これらは流動的なものであり、すべてが「可能性」の話になってしまいますが、一般的に自国の医学部を卒業した医師の方が採用されやすい傾向にあり、外国人であるという理由だけでどれほど言語要件などを満たしていても希望のポストにつけない海外医学部卒業生もいます。

また、日本で働く場合でも、海外医学部卒業生の医師国家試験の合格率があまり高くないことなどを理由に、海外医学部出身者とのマッチングを望まない病院もあり、希望の病院で研修医として働くことが難しい場合もあります。

もちろん、学生の間に将来勤めたい病院などとコネクションを作っておく、などの工夫をすれば、これらの可能性を減らすことはできるかもしれませんが、働きたい国の医学部を卒業している医師とポストを奪い合う状況になったとき、イタリア医学部出身というだけで不利になってしまう可能性もあるということを知っておくと良いでしょう。

何事にもリスクはつきもの。責任をもって、医学部に留学すべし

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ここまで、イタリア医学部留学に関する4つのリスクについて紹介しました。

これらの内容はあまり語られないものが多く、私自身、海外医学部に進学した際にはここまでのリスクを認識していたわけではありません。私は海外医学部に入学してしまい、すでに単位も色々と取得していたので、これらのリスクを分かった上で海外医学部に残っていますが、正直、今から海外医学部に入学しようと考えている人に対して無条件で医学部留学を薦めるかと問われれば、答えは”No”です。

イタリア医学部に進学するということは、最低でもイタリアに6年間も滞在し、将来の職業を決めるものとなることを考えると、ほとんどの人にとって、人生の大きな分岐点となるでしょう。だからこそ、上記で紹介したリスクを知ったうえで自分の人生を賭けてでも挑戦する価値はあるのか、これらのリスクを背負えるのかを事前によく考えて、医学部留学するかどうかを決断してほしいと思います。

とはいっても、私自身、イタリア医学部に在籍しているわけですし、日々、これらのリスクに怯えながら、医学部に通っているわけではありません。重要なことは、イタリア医学部に進学する以外の選択肢も考慮した上で、自分自身で納得して、自分の責任でイタリア医学部に進学したかどうかです。

厳しいようですが、これまで100名以上の海外医学部に通う日本人医学生に会ってきた私からすると、「なんとなく海外医学部に進学した」という日本人学生の退学率は極めて高く、何かしらの勉強のモチベーションがないと進級・卒業が難しいと言えます(※ 個人の意見です)。

イタリア医学部に留学する前に、この道で良いのかどうかよく考え、色々な方に相談決断されることをオススメします。事前個別相談をご利用いただければ、mirunote留学の共同代表がイタリア医学部に進学すべきかのアドバイスも含めて、色々とご相談に乗れるかと思います。

mirunote留学では、イタリア医学部への進学を真剣に目指す受験生のサポートをおこなっており、志望校選びから、イタリア医学部入試対策、各種留学手続きや、イタリア渡航後のサポートまで、一貫した医学部留学のサポートが可能です。詳細はmirunote留学のサービス一覧からどうそ。